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KainokiKaedeの日記 RSSフィード

2011-09-26

[]西尾維新『少女不十分』読了 16:02 西尾維新『少女不十分』読了 - KainokiKaedeの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 西尾維新『少女不十分』読了 - KainokiKaedeの日記

西尾先生久しぶりの完全新作だったので読んでみた。ネタバレ注意です。

思うに、西尾先生はこの作品をもって「作家」になったのだろう。

……これが言いたかっただけです。

いや、なにも作中に登場する小説家を西尾先生と重ねているわけではない。このような事件に遭遇したことが西尾先生を作家たらしめたというわけではない。これはあくまでもお話であって、作中の柿本先生の話であって、西尾先生の話ではない。そのことに関しては、作中でわざわざ名前を出すことによって作者も明確に否定している。

ただ、この作品を作ることによって、西尾先生は自分を「作家」と認めたのだ、という気がした。

そもそもこの作品は今までの西尾先生の作品とは全く異なる。まぁ人死にがあったりするところは西尾先生お得意のアレだなぁと思うのだが、それを考えても異彩を放っている。

第一、こんな、ほとんどなんの動きもない作品が「ラノベ」として通るはずがないのだ。この作品は、ライトノベルと言うよりはむしろ純文学に近い。

小学生女児と大学生との奇妙な同居。

絵面の動きよりも、Uが持つ奇妙な空気を表現した。

このような、言ってしまえば「賞に応募したら絶対に通らない」小説は、いままでの西尾先生の作品には見られなかったはずだ。

しかし、作品としては決して陳腐ではない。文体はいままで以上に洗練され、ともすれば退屈になってしまう淀んだ状況を見事に描いている。

Uのパーソナリティー、少女特有の危うさ、そういった部分も、読み手をグイグイと引き込んでいく書かれ方であった。

そして最後に明かされる謎(といっても、謎というほどでもないのだが……動きのない作品だけに、最初から最後まで静かに物語は語られる)。ポリシーだというハッピーエンドも、ちゃんと用意されている(まぁ伏線があったわけではないので、多少取ってつけたようではあったが……ここは残念であった)。

この10年で培ってきた表現技術を、静かなベクトルに向けたらこうなった、といったところだろうか。なんにせよ、最初から最後まで飽きずにワクワクしながら読むことができました。

いままでの西尾先生の作品は、どちらかと言えばハードボイルドで、武闘派なものが多かった。血に例えるなら鮮血。喉を掻き切ったときの、勢いよく吹き出す真っ赤な朱。

しかし本作は違う。例えるならば古血。醜く膨らんだ腫瘍の中の淀んだ赤。

こういう作品を作ることができる(ここで言う「作ることができる」とは、「書くことができる」という意味ではなく、「企画が通って本にすることができる」という意味である)ようになったことが、西尾先生が「作家」になった証明なのだと、西尾先生が自分を「作家」として認めたということなのだと、私は思った。

(ドヤァァァァ

西尾厨の妄言です、本当にありがとうございました。